知って得する!プロが教える効果的な法人向け節税対策14選
法人の税金対策にお悩みの経営者必見!「知って得する!プロが教える効果的な法人向け節税対策14選」では、ビジネスの成功をサポートするための節税テクニックを厳選してご紹介。実践的なアドバイスが、あなたの企業の資金繰りをサポートします。
目次
- ○ 1. 税金の基本~法人が負担する税金の種類~
- ・1-1: 法人税
- ・1-2: 地方法人税
- ・1-3: 法人住民税
- ・1-4: 法人事業税
- ・1-5: 特別法人事業税
- ・1-6: 消費税
- ・1-7: 源泉所得税
- ・1-8: 源泉徴収される住民税
- ・1-9: 固定資産税
- ・1-10: 事業所税
- ・1-11: 印紙税
- ○ 2. 節税の重要性
- ・2-1: 経済的余裕の向上
- ・2-2: 競争力の向上
- ・2-3: 従業員のモチベーション向上
- ・2-4: 法的リスクの低減
- ・2-5: 事業の継続性の確保
- ○ 3. キャッシュフロー管理の重要性
- ・3-1: 事業の生命線
- ・3-2: 支払い能力の確保
- ・3-3: 金融機関との関係性
- ○ 4. 具体的な節税テクニック14選
- ・4-1: 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)
- ・4-2: 少額減価償却資産の特例
- ・4-3: 役員報酬
- ・4-4: 役員賞与
- ・4-5: 決算賞与
- ・4-6: 不要な固定資産の除却
- ・4-7: 出張旅費規程
- ・4-8: 短期前払費用の特例
- ・4-9: 小規模企業共済
- ・4-10: 生命保険
- ・4-11: 設備投資
- ・4-12: 社宅制度
- ・4-13: 消耗品の購入
- ・4-14: 広告宣伝費
- ○ 4. まとめ
1. 税金の基本~法人が負担する税金の種類~
ビジネスを展開する上で避けて通れないテーマ、それが税金です。会社を経営することでさまざまな税金が発生し、その種類や仕組みを理解することは重要です。
まずはじめに、法人が負担する主な税金に焦点を当て、それぞれの特徴や計算方法を解説します。企業経営者や起業家の方々にとって、節税対策を行う前に税金の基本を把握することは賢明な戦略の一環。税務の専門家でなくても理解しやすい形で、法人が直面する税金の複雑な世界を紐解いていきましょう。
1-1: 法人税
法人が得た所得(儲け)に対して課税される税金で、税率は法人の資本金の額や所得額に応じて異なります。所得が800万円超の税率は(法人の種類によって異なりますが)普通法人であれば23.2%で一定となり、所得の増加に伴い税率も増加する所得税との大きな違いとなります。
<法人税率>
詳細は下記国税庁HPをご参照ください。
1-2: 地方法人税
法人税は国税であるのに対し、地方法人税は文字どおり地方税になります。税額は1-1で求められた法人税額の10.3%です。
<改正前後の地方法人税>
改正の概要は下記国税庁HPをご参照ください。
1-3: 法人住民税
事業所や事務所がある法人に課される税金であり、道府県民税と市町村民税に区分され、合わせて法人住民税と言われています。また、それぞれ「均等割」と「法人税割」から構成されており、課税額は下記のとおり計算されます。
「法人税割」:1-1で求められた法人税額に応じて課税
なお、法人住民税は各都道府県で税率が異なる可能性があるため、各自治体にご確認ください。
下記は参考までに東京都のHPです。
1-4: 法人事業税
事業を営んでいる法人に対して課される税金で、「所得割」「収入割」「資本割」「付加価値割」の4つで構成されており、課税額は下記のとおり計算されます。
「収入割」:法人の収入に応じて課税
「資本割」:資本金等の額に応じて課税
「付加価値割」:収益分配額と単年度損益の合計額に応じて課税
なお、上記4つのうち、ほとんどの中小企業は下記の理由から「所得割」のみ課税されることになります。
資本割:事業年度終了の日における資本金の額又は出資金が1億円を超える場合に課税
付加価値割:同上
余談になりますが、資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人を対象とした課税区分を「外形標準課税」と言い、大企業が資本金の額を1億以下にする減資を行う外形標準逃れを防止するために、2025年4月から「資本金及び資本剰余金の合計額が10億円を超える場合」も外形標準課税対象となります。
【参考】総務省 令和5年12月22日の令和6年度税制改正大綱
1-5: 特別法人事業税
令和元年度税制改正において、法人事業税の一部を分離して導入されました。課税額は1-4で求められた法人事業税のうち、「所得割額」又は「収入割額」に税率を乗じて算定されます。
参考までに、下記は東京都の特別法人事業税になります。
1-6: 消費税
商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課される税であり、以下の4要件に該当する場合に課税されます。
・事業者が事業として
・対価を得て
・資産の譲渡、資産の貸付及び役務の提供
消費税の詳細は下記国税庁HPをご参照ください。
1-7: 源泉所得税
個人の所得に係る所得税を、法人が従業員に支払う給与や賞与などから差し引き、国に納める税金です。
1-8: 源泉徴収される住民税
個人の住民税の納付方法は普通徴収(個人で納付)と特別徴収(事業主が納付)の2通りあり、特別徴収の場合は事業主が従業員個人に代わって毎月の給与から差し引いて地方自治体に納める税金です。
なお、「道府県民税」と「市町村民税」に区分されるのは1-3の法人住民税と同じですが、税額は均等割と所得割(法人住民税の場合は法人税割)で計算されます。
1-9: 固定資産税
毎年1月1日に法人が所有する土地や建物に対して課される税金で、各市町村によって異なる評価基準が存在します。
1-10: 事業所税
一定規模の法人に課される税金であり、人口30万人以上の都市や政令指定都市などが対象になります。例えば東京都では、23区、武蔵野市、三鷹市、八王子市、町田市の4市で課税されることになります。なお、課税方法は以下の2つになります。
従業者割:従業者の給与総額に対して課税
1-11: 印紙税
日常の経済取引に伴って作成する契約書や領収書などを作成した場合に課税される税金であり、印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類が対象となっています。
【参考】国税庁 No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
2. 節税の重要性
上記で法人が負担する税金を簡単に記載しましたが、以下では節税の重要性についてご説明いたします。経済状況の変化が激しい今日、企業が成長し続けるためには節税が不可欠です。適切な節税対策は企業のキャッシュフローを強化し、資金を効果的に活用する手段となります。
2-1: 経済的余裕の向上
節税をすることにより支払う税金の額が減少し、企業にとって経済的な余裕を生み出します。税金を効果的に管理し、適切な節税対策を採用することで、企業は資金を有効に活用し、既存事業の拡大や新規プロジェクトへの投資など、成長に繋がる活動に資金を配分することが可能になります。
2-2: 競争力の向上
節税は、他の企業との競争において有利な要素となります。コスト削減によって、他社との価格競争やサービスの向上にリソースを集中でき、市場での競争力を向上させることができます。
2-3: 従業員のモチベーション向上
節税によって企業が安定し、成果が向上すると、それが従業員にも還元される可能性があります。従業員は企業の健全な成長に貢献していると感じ、モチベーションが向上する可能性があります。
2-4: 法的リスクの低減
適切な節税対策を採用することで、法的なリスクを低減できます。税制改正や規制の変更に敏感に対応し、適切な手続きを行うことで、企業は法的なトラブルを回避しやすくなります。
2-5: 事業の継続性の確保
適切な節税対策は、企業の財務状態を安定させ、事業の継続性を確保する助けとなります。予期せぬ財政的な困難に備え、企業が長期的な展望を持ち続けるためには節税が不可欠です。
3. キャッシュフロー管理の重要性
キャッシュフロー管理の重要性は企業経営において決して過小評価できません。資金が円滑に流れ、企業が短期および中長期の財務調整に柔軟に対応できることは、事業の生存と成長に直結しています。
正確で効果的なキャッシュフロー管理は、支出と収入のバランスを取る上で不可欠です。これにより、経営者は適切なタイミングで支払いを行い、また適切な時期に収益を最大化できるようになります。
3-1: 事業の生命線
あまり文字にして記載すべき内容ではありませんが、会社が倒産するのは「キャッシュが回らなくなった時」です。勘違いされるポイントとして多いのが、仮に毎期赤字続きで債務超過であったとしても、キャッシュが潤沢で適切に支払いを行うことが可能であれば倒産しないということです。
会社が倒産するのは「キャッシュが尽きた時」になりますので、黒字であったとしても倒産することがあり得ます。
3-2: 支払い能力の確保
適切なキャッシュフロー管理は、債務の支払いにおいて遅延や滞納を防ぎます。資金が適切に確保されていれば、取引先や従業員給与等の支払いをタイムリーかつ正確に行うことができます。
これは信用を損なわず、ビジネスパートナーシップを維持する上で非常に重要です。
3-3: 金融機関との関係性
銀行などの金融機関との良好な関係は、企業経営を行うにあたり非常に重要です。キャッシュフローが健全であれば、借入金の返済がスムーズに行え、金融機関は企業に対して信頼を寄せやすくなります。
これにより、将来的な融資の取得がしやすくなり(過去の返済実績を重視している日本政策金融公庫は特に)、必要な資金を手に入れやすくなります。
4. 具体的な節税テクニック14選
ここからは、すぐにでも実践可能な具体的な節税対策を14選お伝えいたします。すべての手法が貴社に当てはまるとは限りませんが、可能なものから実践していきましょう!
4-1: 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)
経営セーフティ共済は節税対策で利用されることが多いですが、本来の目的は取引先が倒産した際に無担保・無保証人で掛金の10倍(上限8,000万円)まで借り入れることができ、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度になります。
この制度の一番のメリットはなんといっても、月額の掛金は5,000円から20万円まで自由に選ぶことができ、支払った全額が損金算入になることです。最大の節税効果を得るためには最大の20万円を選ぶことが良いですが、掛金の変更は簡単に行うことが可能ですので、不測の事態などで資金繰りに困った場合は減額することも考えられます。
1-1で記載したとおり、中小企業の場合は所得が800万を超えると法人税率が23.2%に増加することから、800万円を超える所得に対してこの制度を利用するのが一番効果的です。
経営セーフティ共済を利用するにあたり注意点としては、解約手当金が益金に算入される(課税対象になる)ということです。支払った時は全額が経費になりますが、反対に受け取った場合も全額が収入になります。そのため、赤字になりそうな期に解約するなど、タイミング良く解約しなければ、支払った期より高い税率で税金を支払うことになり、結果的に節税効果がなくなってしまう可能性がありますのでご注意ください。
4-2: 少額減価償却資産の特例
少額減価償却資産の特例とは、資本金1億円以下や従業員500人以下などの要件を満たす法人が適用可能な制度であり、取得価額が30万未満の減価償却資産は全額経費にすることができます。通常であれば、減価償却資産を取得した場合は、その取得した資産の耐用年数に応じて毎年経費を計上することになりますが、この特例を適用すれば購入した期に全額を経費計上することが可能になります。
ただし、1事業年度においてこの特例を適用できるのは合計300万円までになり、300万円を超えた減価償却資産については通常の減価償却を行うことになりますのでご注意ください。
【参考】国税庁(No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
4-3: 役員報酬
役員報酬は下記3つのいずれかに該当する場合、不相当に高額な部分の金額を除き全額が損金算入されます(法人税は節税になりますが個人の所得が増加することになり、個人の税負担は増えます)。
・事前確定届出給与
・業績連動給与
・定期同額給与
「定期同額」の文字どおり、支給時期が1ヵ月以内の一定の期間ごとである給与で、各支給時期における支給額が一定なものになります。毎月固定額の支払いになりますので、残業代などの支払いは認められていません。
報酬額の変更時期は、原則として事業年度開始から3ヵ月以内で行う必要があります。なお、例外として職制上の地位の変更、会社の業績悪化があった場合には期中での変更も認められます。
・事前確定届出給与
上記の定期同額給与は毎月の報酬であり、事前確定届出給与はボーナスというイメージです。仮に役員に対する臨時的なボーナスが損金算入可能であれば、会社の利益操作が簡単に行うことが可能であることから、これを防止するために、予め「いつ」「誰に」「いくら」支払うかを税務署に届け出ることが必要になります。
税務署に対する届出は、「株主総会の決議の日から1ヵ月以内」「会計期間の開始の日から4ヵ月以内」のいずれか早い日までに申告する必要があります。
・業績連動給与
こちらも文字どおり、会社の業績に応じて支払われる報酬になります。しかしながら、非上場の会社は適用することが出来ないため、詳細な記載は割愛いたします。
【参考】国税庁(No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分))
4-4: 役員賞与
上記4-3の事前確定届出給与に関して、少し深掘りしてみようかと思います。4-3で記載のとおり、事前に税務署に届け出を行いその届け出どおりの支給を行った場合は、全額が損金算入されることになり、その分節税になりますが、報酬という位置づけであることから当然役員賞与にも社会保険が課せられることになります(会社と従業員で報酬の約15%ずつ折半)。
しかし、この社会保険料ですが、実は上限が存在します。その額は健康保険料が年間573万円、厚生年金保険が1度の報酬で150万円です。つまり、役員賞与が573万円超の場合の社会保険料は一定になります。そのため、毎月の役員報酬を少なくし、その減少分を役員賞与として一括で支払うことにより社会保険料を大きく削減することができます(会社、個人ともに削減できます)。
注意点として、このスキームを利用した場合は支払う社会保険料が減少することから、当然将来受け取ることができる年金も減額されることになります。「今のキャッシュ」か「未来のキャッシュ」どちらを重視するか、という視点も考慮する必要があります。
4-5: 決算賞与
決算賞与は通常の賞与と異なり、決算近くに当期の業績の着地見込みを想定し、想像以上に利益が多く出そうな場合に従業員に支払う賞与になります。支払った全額が損金算入されますので、節税にもなりますし、従業員のモチベーションアップにも繋がります。
一方で、こちらも4-3と同様に報酬という形態であることから社会保険料の負担も生じると共に、当然ですが節税額以上の賞与の支払いを行わなければいけません。そのため、目先の税金を減らすために決算賞与を支給したものの、節税額以上にキャッシュが流出することになります。よって、手元のキャッシュが心もとない場合は実施しない方が良いかもしれません。
また、こちらの決算賞与ですが、以下の3つの要件を満たせば未払での損金算入が可能になります。
・通知した額を、翌事業年度開始1カ月後以内に全額支給
・当期中に損金経理
未払経理を行うことにより、当期中のキャッシュアウトを防ぐことができることから、決算書の現金及び預金の金額を多く見せることができます。そのため、直近で金融機関からの融資を検討している場合には、当該決算書の評価が高くなることになり、結果として融資を受けられる可能性も上がります。
4-6: 不要な固定資産の除却
もし、使用していない又は不要な固定資産がある場合は、除却することにより節税になります。まず、固定資産の帳簿価額が除却損として損金算入されますので、その分節税されます。加えて、その固定資産が償却資産である場合は、毎年生じる償却資産税も負担がなくなります。
4-7: 出張旅費規程
出張の際の交通費や宿泊費をはじめとした諸費用についての規程を作成することにより、節税を図ることが可能です。実費精算の場合はその分のみ損金算入されますが、出張旅費規程による日当支給を行うことにより、その出張手当全額が損金算入可能になります。
また、出張手当を受け取る個人の立場になって考えてみますと、出張手当は非課税になるとともに、少し安めのホテルに宿泊するなどして実費精算よりも多く手当を受け取った場合は、その差額も非課税の収入となります。
4-8: 短期前払費用の特例
短期前払費用の特例とは、前払費用のうち下記2つの要件を満たしたものを言い、その支払った時点で全額を損金算入することができます。
・支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているとき
また、当該特例は毎期継続して適用することが要件になりますので、結果的に1年間に損金算入される額は毎期一定となり、節税効果は初年度にしか現れないことになります。したがって、適用年度の所得が多い場合かつ手元資金に余裕がある場合のみ実施することをオススメしますが、そのような状況は限定的かもしれません。
【参考】国税庁(No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合)
4-9: 小規模企業共済
小規模企業共済とは、国の機関である中小機構が運営する、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。個人の退職金制度になりますので法人の節税とは無関係に思えますが、組み合わせて利用することで法人税の節税にも繋がります。
小規模企業共済ですが、月々の掛け金は1,000円から70,000円まで選択することができ、全額が個人の所得税の所得控除となります。
例えば、毎月最大の70,000円を積み立てると仮定した場合、その70,000円を法人から受け取る役員報酬に上乗せします。その結果、法人での役員報酬が増加することにより、その分節税効果が生まれます。なお、個人の所得はその分増加することになりますが、上記記載のとおり全額が所得控除になりますので、所得税は増加しません。ここで、小規模企業共済の加入前と加入後を比較すると、結果として外部に流出した税金は加入後の方が少なくなることから、加入することで節税することができます。
また、小規模企業共済は貸付制度があり、積み立てた額の7~9割を借りることが可能です。そのため、積み立て時にキャッシュアウトが生じますが、節税効果によるキャッシュがプラス及び貸付制度によるプラスも考慮すると、状況によっては手元資金を減らすことなく節税することが可能になります。
4-10: 生命保険
2019年の税制改正において、節税目的の法人保険損金算入ルールの見直しが行われた結果、以前のような節税効果はなくなりました。最高解約返戻率によって損金算入可能な保険料の割合が異なり(詳細は、下記国税庁HPをご参照ください)、返戻率が高いほど損金算入割合が低くなります。保険加入期間が一定期間経過することにより全額損金算入可能になりますが、解約返戻金を受け取る際は法人の収入になることから、場合によって節税効果が少なくなることも考えられます。
そのため、高い節税効果を得るためには、①保険加入期間途中で解約しない②法人の業績が悪い期に解約返戻金を受領する、などの対策が必要になります。
4-11: 設備投資
設備投資を行った場合、減価償却により毎期規則的継続的に費用計上することになるため、節税効果はほぼ少なくなります。しかし、中小企業経営強化税制(詳細は下記国税庁HPをご参照ください)を利用した場合、全額を償却することが出来る特別償却か税額控除のどちらかを受けることができます。
トータルの節税効果は税額控除を適用した方が高い場合が多いですが、法人の状況によっては資金繰りの観点から特別償却を選択した方がメリットが大きい可能性もありますので、状況に応じた選択をすることが望ましいです。
【参考】国税庁(No.5434 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除))
4-12: 社宅制度
社宅制度とは、会社が従業員のために住宅を借り入れ、その物件の賃貸料相当額の50%以上を従業員に負担してもらうことで従業員の給与として課税されず、その差額を経費計上することが可能になる制度です。
従業員が直接住宅を借り入れ、会社から住宅手当が支給される場合を比較してみると、一見すると双方の違いはないように思えます。しかし、社宅制度を利用した場合は給与がその分少なくなることにより、給与をもとに算定される社会保険料も少なくなることから、企業側従業員側双方にとってのメリットが生じることになります。
【参考】国税庁(No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき)
4-13: 消耗品の購入
消耗品とはコピー用紙などの事務用品等の10万円未満のものであり、原則は使用した期に損金算入されます。しかし、下記の3要件に該当する場合は、購入時に損金算入することが可能です。
・経常的に消費していること
・毎期継続して損金経理していること
【参考】国税庁(法人税法基本通達2-2-15 (消耗品費等))
4-14: 広告宣伝費
広告宣伝を行うことによって利益が圧縮され、その分節税することができますが、いくつか注意点があります。
広告宣伝費として支出した額が損金算入される時期は、「広告宣伝が行われた期」になります。例えば、決算月の月初に3カ月間の広告契約を締結し、当期中に一括で支払いを行った場合は、支出した額のうち1/3は損金算入可能ですが、2/3は前払費用として資産計上することが必要になります。
また、上記に似たような内容ですが、パンフレットやチラシなどを大量に発注し、期末に在庫が残っている場合は貯蔵品として資産計上する必要がありますのでご注意ください。
4. まとめ
上記の節税手法を実施することにより、効果的に税金を減らすことができます。しかし、節税対策を行うということは、損金(経費)を増やすことにより所得を減らした結果として、税金が減ることになります。そのため、税金が減る以上に損金を増やすためのキャッシュアウトが増加し、トータルとしての現金及び預金は減少することになります。
したがって、目先の税金を減らすために節税対策を行った結果、資金繰りが悪化する可能性もありますので、現在置かれている会社の状況を踏まえたうえでの対策を行うことが重要になります。
※こちらの記事は2024年2月時点の情報となり、最新の法改正が反映されていない可能性がありますのでご留意ください。