Blog

ブログ

Blog

最新情報

今さら聞けない!所得税の基礎控除とは?令和7年税制改正によって何が変わったの?

所得税の基礎控除は、すべての納税者に関係する重要な制度です。
毎年の年末調整や確定申告にも影響するため、仕組みや金額、令和7年度税制改正を正しく理解しておくことが節税の第一歩となります。本記事では、基礎控除の基礎から改正内容までわかりやすく解説します。

1.所得税の基礎控除とは?

はじめに、そもそも基礎控除とは何かなど、基本的なところから解説いたします。

1-1.基礎控除とは

所得税の基礎控除とは、納税者の年間所得から一定額を差し引くことで、課税される所得(=収入-必要経費や控除など)を少なくし、税負担を軽くする制度です。
一定の所得以下であれば、すべての納税者に適用され、その金額分を所得から差し引ける仕組みとなっています。


例えば、、、
仮に、あなたの所得(儲け)が300万円だったとして、

基礎控除が 48万円 なら
 → 課税対象は「300万円-48万円=252万円」になります。

この「差し引ける48万円」の部分が、基礎控除です。



1-2.誰が受けられるの?

基礎控除は、その文字どおり「基礎」であることから、基本的にすべての方が受けられる所得控除となります。


「基本的に」と記載したのは、合計所得金額が一定以上(2,350万超)の方は適用がないことが理由ですが、ほとんどの方は該当することになるかと思います。


1-3.なぜ大事なの?

基礎控除があることで、所得が低い人ほど税負担を軽くできるようになります。
また、年収が少し高くても段階的に控除額が減るようになっており、課税の公平性を保つ仕組みとも言えます。

よくある勘違い!

• 「年収」ではなく「所得」(収入-必要経費など)で基礎控除の適用有無が判断されます。

• 控除とは「戻ってくるお金」ではなく「税金を計算する前に引かれる金額」のことです。



2.令和7年度税制改正について

続きまして、令和7年度の税制改正によって所得税に与える影響がどうなるのかをわかりやすく解説いたします。




2-1.基礎控除の見直し

下記画像のとおり、所得税の基礎控除が大幅に拡大され、2025年(令和7年)分の申告から以下のように改正されます。

※画像は国税庁HPから引用



改正前の基礎控除は合計所得金額の区分がありませんでしたので、合計所得金額が2,350万円以下の方は全員一律で48万円でした。

改正後は、合計所得金額の区分によって段階的に基礎控除額が58万円~95万円と変動することになりますが、細かく区分されるのは令和7・8年の2年間だけであり、令和9年以降は58万円または95万円の2つになりますのでご注意ください。



2-2.その他の所得税関連改正(給与所得控除)

令和7年税制改正において、上記の基礎控除額の改正もありますが、所得税に関する改正は他にもいくつかあります。その中で、影響する方が多いと思われる給与所得控除の改正についてご説明いたします。


給与所得控除とは?

通常の税金の考え方として、「売上」から「経費」を引いて、差額の「儲け」に対して税金がかかります。

しかし、会社員などの給与所得者は、お給料(売上)に対する経費を計上することができません。仕事用で使うカバンなどの実費をそのまま経費計上できませんが、その代わりとして「給与所得控除」という控除があります。

これぐらいのお給料(売上)の人は、これぐらいの経費を使っているだろうという想定のもと、給与の収入金額に応じて給与所得控除の額が定められています


以下は令和7年度税制改正のうち、給与所得控除についての改正点になります。

※画像は国税庁HPから引用


改正前は最低額が55万円でしたが、改正後は65万円となり10万円の増額となっています。
なお、給与収入金額が190万円超の場合の給与所得控除額は変更がありませんので、ご注意ください。



2-3.103万円の壁が160万円の壁に

よく、●万円の壁といって、税金や社会保険料が課される「壁」がありますが、そのうちの一つである「103万円の壁」が上記の令和7年改正によって「160万円の壁」に増加しています。


そもそも103万円の壁とは?

まず前提として、この壁の影響があるのは「給与所得者」のみになります。その前提のもと、給与収入(額面)が103万円だった場合を考えてみましょう。

上記2-2に記載のとおり、改正前の給与収入が103万円だった場合の給与所得控除は55万円になります。
そのため、給与所得は48万円(103万円-55万円)となります。

次に、2-1に記載している基礎控除が48万円ありますので、給与所得48万円から基礎控除48万円を引くと0円となり、結果的に所得税が0円となります。

まとめると、給与所得控除55万円と基礎控除48万円を合計した103万円が「壁」となっていました。

上記を踏まえ、改正後で考えていきましょう。

給与所得控除の額は65万円、基礎控除は95万円に増加していますので、65万円+95万円=160万円となり、給与所得者の方は額面160万円まで所得税がかかりません。これが「160万円の壁」となります。


注意点!

・この160万円の壁はあくまでも「所得税」の話となりますので、160万円までは所得税がかかりませんが、「住民税や社会保険加入」の壁はもっと低くなっていることにご注意ください。



3.まとめ

令和7年度税制改正において、上記のとおり基礎控除及び給与所得控除が増加した結果、所得税の壁が103万円から160万円に増加しています。

しかしながら、住民税や社会保険の壁の存在があることから手放しで喜ぶことはできないと思います。また、昨今の物価高の影響が大きすぎることから、この程度の改正ではとてもじゃないですがカバーしきれていないとも感じています。

そのような状況の中、結局私の場合はいくらまで稼いだら一番良いの?などご質問がございましたら、こちらのお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

※こちらの記事は2025年9月20日時点の情報となりますのでご留意ください。
※また、板橋区の奥村公認会計士税理士事務所では、法人及び個人の税務顧問や確定申告、節税に関するご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

SHARE
シェアする

ブログ一覧